こんにちは、慎です。
転職をしようとしている会社で裁量労働制を設けている会社が増えてきました。
この言葉はよく耳にするけれども、実際どんな制度なのかイメージできていない人が多いという話をよく耳にします。
なんとなく「予め残業代が給与に組み込まれているる制度」と認識をしている方も多いのですが、実は落とし穴もたくさんあるので、理解をしておく必要があります。

この記事では裁量労働制とは何かをお伝えし、当該制度下の中で残業代などは支払われるのかといった疑問を解消します。
結論、制度を深く理解をしていないと、実は大損をしているということにもつながりかねない落とし穴が存在をしています。
この記事を通じて、そういった気づきを解消し、大損をしていたのであれば回収をする術についても併せてお伝えします。
この記事を書いている人

- 人材業界経験17年目
- 転職経験3社
- ブラック企業での勤務経験あり
- 2000名以上の転職相談
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- ド底辺から社長賞受賞まで経験
- 現在は人材紹介に従事
転職経験ゼロの方を中心に、不安を取り除き安心できる転職ノウハウや、会社の「リアル」な側面を余すことなく解説しています。
こんな方の悩みを解決する記事を書いています

裁量労働制って、多くの企業が取り入れているので、特段従業員にデメリットはない制度だと思ってた。
名前からして、自身の裁量が増えるようなイメージがあるため、良い印象を持っていた。

裁量労働制って予め残業時間が組み込まれていることはわかったんだけど、自社はこの設定されている残業時間が多いのか、少ないのかを知りたい。

裁量労働制で規定をされている残業時間をオーバーしたら、残業手当は払われるのだろうか。
結構残業をしているんだけど、払われているような様子はないので、知りたい。
結論、営業職や企画職などで従事をしている方は、この裁量労働制が適用されている事が多いのではないでしょうか。
よく耳にはする言葉ではありますが、実際どんな制度なのか、どのような点に気をつけておくべきなのか、明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。
そんな方を対象として詳しく解説をしていきます。

裁量労働制で40時間の残業時間が組み込まれている。
それまでは残業代は払われない制度、ぐらいしか知識がないんだよね。
そもそも、これって全職種適用される制度なのかな?

ううん、全職種には適用できない制度なんだ。
あくまで適用業種は限られていて、それ以外の職種に適用をされている場合には合法ではない場合があるから正しい知識を持っておく必要があるんだよね。
まず、前提として裁量労働制とは一体どんな制度なのかを解説します

業務を遂行するため、労働者の裁量に委ねる事が多い職種に適用されています。
対比としては工場勤務で、一定の作業時間に対して成果が見えているものに関しては、労働時間=生産量となり、裁量労働制は適用されていません。
例を挙げるとクリエイティブな仕事においては、考える時間も大事な時間です。
そういった時間が仕事に影響をしているのか、そうでないのかが明確な区分けが難しく、一定の裁量を与える必要があります。
そうした時間を考慮した上で、月給に一定の残業代を含めるという制度になります。

つまりは、業務の特性上、なかなか時間管理が難しい職種にのみ適用をされるんだね。
確かにいろんな働き方が増えてきているから、このような制度を導入する必要があるんだね。

そうなんだよね。
工場などでしっかりと時間管理ができる職種であれば良いんだけど、そうでない仕事も多くなってきたよね。
特にホワイトカラー系の仕事であるとほとんどが、こういったケースになるよね。
ただ、この裁量労働制というのはいくつか制度が分類をされるんだ。
それについて解説をしていくね。
事業場外労働のみなし労働時間制
営業職を例にあげて解説をさせていただきます。
職務上、取引先への訪問をしたりする移動時間や、提案資料を作成する時間など管理者が指示した時間でないものも大切な時間に入ります。
そうなると、使用者(会社)は具体的な指揮や監督ができない状況が生まれます。
結果、どの業務が会社によって指示をしたものなのか、明確な線引ができず、残業時間として計測が難しい状況が生まれます。
そのために生まれた制度が「事業場外労働のみなし労働時間制」です。
裁量を労働者に移譲していく事で、遂行も労働者の意思を以て行えますが、残業の算出が難しくなるため、予め想定される残業時間を給与に組み込み、算出しています。
当然ですが、組み込む時間は使用者と労働者側で事前に取り決めが行われています。
その条件を労働契約の書面に記載をして提示をされます。※みなし残業(月◯◯時間)と定められている事が多いです。
専門業務型裁量労働制
例えば、研究開発業務、デザイナー、コピーライター、士業など、会社での勤務はしているものの、これらの職務においては使用者が具体的な指示をする事が困難な業務となります。
知見を生かして、成果として輩出する側面を持っているために、考える時間なのか、それとも無の時間なのか、明確な線引が行えません。
上記のみなし労働時間制と同様の考えから、想定の残業時間が月給に組み込まれています。
企画業務型裁量労働制
企画職を中心に適用されます。
これらの職種は該当部門全体の最適化といった大枠のテーマはあるものの、仕事の実態が不明確であり、仕様者が明確に指示を出しながら業務をしていただくということが困難な職種です。
具体的には、対象事業場の属する企業などに関わる業務の一切や、企画や調査などのリサーチ業務などが該当をします。
これも上記同様、定められた残業時間が月給に組み込まれます。

なるほどね、いずれの業務も管理職が時間管理を事細かにできないもんね。
また、考えている時間も一定の仕事に該当をしたりするので、管理はできないよね。なのでこういう制度で労務管理をしているんだね。

そうそう。そういう目的で導入されているんだ。
次に話す内容としては、この制度の中でよくある質問をまとめてみるね。
制度の細かな疑問について解説していきます

定められた時間分、勤務をしなくても満額の月給はもらえるのか?
結論、もらえます。
その期間にかかる残業時間を想定して組み入れられているものゆえ、定められた残業時間を勤務しなかったとしても、満額の支給はされます。
そして、定められた時間以上の残業が発生をした場合には、別途支給となります。超過したにも関わらず払われていなかった場合には未払いとなり、企業は罰則を受ける可能性がでてきます。
残業のトラブルについては下記の記事で解説をしていますので、是非ご覧ください。
みなし残業の時間は、どう定められているのか?
36協定によって、社員に残業を命じられる時間は厚生労働省によって定められています。
もし詳細を知りたいと言う方はこちらのサイトをご覧ください。
(出典:厚生労働省/時間外労働の上限規制)原則として月45時間、年間360時間という上限値が定まっており(例外規定として、45時間については若干の変動も可能)
それに基づき、企業は範囲内で時間を定めるようにしており、みなし残業の時間が取り決められています。
万が一45時間を超えるみなし残業時間が定められていた場合には、労働基準監督署に相談をオススメします。
深夜残業や休日割増などは適用されるのか
こちらも適用されます。例えば深夜残業においては1.25倍以上の割増賃金を支給する条件が定められています。
また、休日に労働をした場合には、1.35倍の割増賃金が発生をします。
例えば、みなし残業としての40時間内の労働ではあるが、深夜残業に及んだという場合については、1.25倍の賃金の部分が支給対象となります。

制度を理解していないと、実はもらえる残業手当をもらえないなんてことにもつながりかねません。しっかりと把握するようにしましょう。
このケースはダメ、絶対
よくある例としては、会社から規定の時間内に打刻をして欲しいという依頼が飛んでくるケースです。
事実上打刻だけはしているものの、実態としては、その後も労働をしているケースもあり、これもNGなケースとなります。
残業時間が恒常的に発生をする場合には、経営者は職場環境の改善をするため、人員を増強したり、仕組みをみなしたりして、労働時間の改善に努めなくてはなりません。
しかし新たな人員を雇用すると人件費が膨らみ当然ながら会社としては収益を圧迫する要因になります。
そのため、現状の人員で業務をこなしながら、打刻等々は適正の範囲内にとどめ、勤務を継続させるといったケースが後をたちません。
このような要望を受けて勤務を続けるよう指示をされた場合には労働基準監督署に出向き相談をしましょう。

ちょっと重たい話になってきちゃったけど、制度を悪用した残業時間未払いという問題も発生しているみたいだね。

そうなんだ、例えば「みなし残業時間」を超えた労働時間があった場合、残業代は支払わなければいけないんだけど、支払っていないケースもあるんだって。
なので、制度を理解して、自分の残業時間と照らし合わせて確認をする必要があるんだよ。
未払金はものすごく多く、身近な事案となっている
厚生労働省の「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成31年度・令和元年度)」によりますと、未払い金の是正をした企業は述べ「1,611社」にも及びます。
その中でも1,000万円以上の割増賃金を支払った企業が延べ161企業と多い状況です。
その中でも注目をしたいのが、未払いを受けてしまっている方の人数が「7万8,717人」となっており、割増賃金総額としては「98億4,068万円」となり、かなりの金額です。
この数値、残念ながら是正を受けた企業だけとなっており、現在でも未払いが行われる企業に関しては反映をされていません。
これだけでも、未払いが如何に身近な存在であるかわかります。
業種別の企業数、労働者数、是正支払額の総額の実態がデータとして出ている

産業統計と照らし合わせても、特段どこかの特定の業種が抜きに出ているわけではなく、様々な業種で未払い事案が起きています。
そのため、安心できる業種だからではなく、今一度自分の会社で未払いが起きていないかを給与明細を見て、残業時間が適正な数値が記載をされているか、割増賃金などが反映をされているかなどをチェックしておく必要があります。
未払い賃金の対象となる項目は何があるのか
東京労働局の「未払い賃金とは」によりますと、下記の支払われるべき項目において未払いが発生をしているものが該当をします。
これは予め労働契約や就業規則で定められた賃金を、所定の支払日に払うという条件が通常定められており、それを遵守する責任が企業にはあり、万が一反してしまうと「労働基準法違反」となり処罰の対象となります。
- 定期賃金(通常の毎月定められた額面どおりの給与に相当します。)
- 退職金(支給条件が労使間において定められている場合に該当をします。)
- 一時金(賞与・ボーナス)
- 休業手当
- 割増賃金
- 年次有給休暇の賃金
- その他法第11条に定める賃金にあたるもの
とされており、多くの項目が該当をします。そのため未払金が発覚した場合には、各項目ごとに金額を割り出し、把握をしておくと良いです。
尚、退職した労働者の場合においては、退職日までに支払われなかった部分については絵遅延利息として14.6%が付帯します。

ほんとに怖い怖い。未払いってよくニュースになるけど、こんな身近なものだったんだね。
でも万が一未払い賃金があったら本当にショックだな。

そうだよね〜、未払い賃金が生じた例を次に紹介をしてみるね。
これを行ってしまった企業は公表をされ、大きなレピュテーションリスクにつながることになっちゃうんだよね。
未払い残業代が発生をした企業の事案について

これは、法令を遵守しているかどうか、労働基準監督署が抜き打ちチェックなどを日々行っています。
そこで、従業員などのヒアリングを通じて事案が認められる場合、詳細な調査が行われます。
その結果、未払いが発覚をした場合には、企業に対して支払うよう命じる権限をもっています。
その上で再発防止策を検討いただき、試行するよう企業には通達されます。
未払い賃金が発生をしたら企業としてはどうなるのか
未払い賃金の是正がなされた企業は「労働基準関係法令違反に係る公表事案(公表されている企業・事業場リスト) 検索サイト」に企業名と事案概要が公表をされます。
そうなると、当然ですが対外的なイメージは悪くなり、新規採用を行う際にも不利な状況となります。
また、取引先においても、コンプライアンスを遵守できていないイメージを持たれ、取引をストップされたりします。
また金融機関においても同様の見られ方をするため、融資が受けにくくなったりと、影響は甚大となります。
残念ながら、あなたに未払いがあったことがわかったらどうするのか?

ちょっとこれから残業代をしっかりと計算をしようと思っているんだけど、もしかしたら未払いが生じている可能性があるんだよね。
調べた結果未払いがあったらどうすれば良いの?

うん、残念な結果になってしまうということも想定をして、下記をお伝えするようにするね。
企業とトラブルになりかねない事柄ゆえ、適切な対応をする必要があるので、くれぐれも慎重に進めるんだよ。
労働基準法第115条が改正に伴い、未払い給与の時効が5年とされていましたが、経過措置として3年と定められています。
ただ、これは、定期賃金や残業代に関しては3年間となり、退職金に関しては現行通り5年間となっています。
給与の未払い総額の集計をする
どの項目の賃金が、いくらなのか集計をするようにしましょう。
この時に大事なものが、タイムカードの存在です。つまり残業時間が発生しているという裏付けが求められるようになり、そのタイムカードの写真でも良いので確保をするようにしましょう。
残業時間の総額、金額など概算で構いませんので計算すると良いです。
労働基準監督署に出向いて相談をする
労働基準法に照らしあわせて、総額などの算出や根拠性の部分に認識のズレがないかどうかを確認する意味も含めて労働基準監督署に相談をしましょう。
当然あなたが就業中であれば、相手も配慮をしてくださり、あなたの事情を汲み取った上で対策を示唆いただけます。そのアドバイスに則り、あなたの意思決定をしていくと良いでしょう。
転職活動をし、退職をする
様々な事情があると思いますが、未払いが生じている会社が適正に運営されているとは思えません、今後を考えて転職活動を始めることも検討のひとつです。
また、未払金を請求するとなると、どうしても仕事を続ける場合には居づらくなりますし、なかなか踏み切ることができなくなります。
そのため次の転職先を決めて、退職意向が確定をしてから労働基準監督署と共に、請求を講じるようにしましょう。
適正な労働時間を定め、その範囲内で勤務をさせることは経営者の努めです。
逸脱をしたり、ルールをごまかしたりするケースの場合、より大きな違反を行う可能性も考えられます。
違和感を感じたのであれば、適切な相談窓口にて状況を伝え、快適な労働環境を手にするようにしましょう。
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