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こんにちは、慎です。
ストックオプションという制度を耳にするものの、具体的にどんなものなのか疑問に思っていませんか?
ざっくりと言うと、会社員で居ながら多額の金額を受け取れる夢のような制度です。
でも、ストックオプションを付与された経験もないし、そもそもどんな制度なのかもよくわかっていないので、知る必要もないと感じている人も多いのではないでしょうか。
確かに、全ての会社員の方がストックオプション制度の恩恵を受けられるわけではありません。
そのため、制度の概要を知らなくても大きな支障をきたすことがないことが多いのですが、偶然にも付与された場合には対処を間違えると「大きな損」をしてしまうこともあります。
判断を誤ると大きな後悔をしてしまう可能性もあるため、正しい知識を持っておくと後悔をせずに済みます。
この記事は下記のような方におすすめです!
- ストックオプション制度とは何かを知りたいと考えている人
- ストックオプション制度を1円も無駄にしないで行使したいと考えている人
- ストックオプション制度を持っている状態で転職を検討している人
この内容は実際にストックオプション制度によって多額の金額を受け取ったAさんの実話を元に書いています。
ネットには書かれにくい細かな部分についても言及をし、詳細に制度の特徴を記載しています。
この記事を書いている人
- 人材業界経験17年目
- 転職経験3社
- ブラック企業での勤務経験あり
- 2000名以上の転職相談
- 1000社以上の支援実績
- ド底辺から社長賞受賞まで経験
- 現在は人材紹介に従事
転職経験ゼロの方を中心に、不安を取り除き安心できる転職ノウハウや、会社の「リアル」な側面を余すことなく解説しています。
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嬉しい特徴 | 転職成功者No,1 | 取り扱いの60%が非公開求人 | 性格診断を踏まえた紹介支援 | 担当者が親身に細かくカウンセリングをしてくれる | 外資初の方の転職支援が手厚く、ノウハウを得られる | 担当者のエンジニアに対しての知識が深く、相談が容易 | ITエンジニアに特化をして、幅広く求人を探せる | スペシャリスト、ハイクラス、経営層が薦める転職エージェントの賞を受賞 | 管理職に特化をしていることもあり担当者の知見も深い、そして管理職求人が膨大 | 担当者の知識が豊富で、希少な非公開求人も紹介される | ほぼ、非公開求人で占めている(80%が非公開)なので出会える求人が珍しい | 何から始めてよいのかなど、転職をするための方法を親身になって相談をしてもらえる | とにかく自分に合った転職先の候補を積極的に紹介をしてくれるため、受動的でOK | 経営層と太いパイプがあり独自の求人を持っているため、極めて限定的な求人に会える | 非公開求人が多く、自社内や社内SEなどの職種が多い |
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ストックオプションとは、こんな制度
ひとことで言うとこんな制度
- 株式会社の従業員や取締役が自社株を予め定められた価格で取得できる権利
- 優遇された価格で株式を取得できる(株を売ると利益がでる可能性が高い)
- 株を得る制度ではなく、株を購入できる権利を指す
- 株の売買タイミングによっては利益が乏しい場合もあり一定のリスクは存在する
ちょっと難しい話になりますが、会社は上場をすると証券取引所を介して一般の人でも株を買うことができるようになりますが、未上場の企業の株は買うことはできませんよね。
ただ、このストックオプション制度は、株式上場を果たした際に「一定の金額で株式を購入できる権利」を指していて、安価で購入できる権利を手にすることができます。
なんで、購入できる権利が大きな金額を生むことになるの?
そんな疑問を持つことでしょう。
端的にストックオプション制度のからくりについて解説をしていきますね。
- 株式は上場をすると株価が跳ね上がり、高値で取引をされるようになります。
- 安価で購入できる権利を手にすることで、市場よりも安い価格で株の買い付けが可能です。
- 市場での取引金額と、買付金額の差異が、あなたの利益として得られるようになります。
図で解説をすると、こんなイメージです。
安く買わせてあげるよ、というものが「行使価額」といいます。
上場をしたときに、実際に売買をされている金額が「株価」です。
この表を例にとると「200円の株を、100円で買わせてあげるから、売ったら100円の利益がでるよ」ということになります。
ただ、株は当然日々変動をしているので、300円にも50円にもなったりします。
100円で買わせてもらえる権利は変わらないので、当然ですが、株価が高いときに行使をしたいと誰もが思いますよね。
つまり、行使するタイミングを見誤ると、大損をしてしまう可能性があるのです。
ちなみに、ストックオプション制度に近しい制度として社員持株会というものがあります。詳細については下記を参考にしてみてください。
ストックオプションに関連する、疑問のあれこれ
とにかく難しくなりがちな、金融的な話なので、色々と疑問を持つことでしょう。
よく、下記の質問をいただくことが多いです。
- ストックオプションはどんな会社にでも付与される可能性があるのか
- 権利が付与される対象はどんな人なのか
- 株を得られる制度と解釈をしているけど、あってるのか
- 無制限に買うことができるのか
こんな質問を受けることが多いです。
結論からお伝えをしますが、回答は下記となります。
- ストックオプション制度は株式会社のみに存在をする制度
- 取締役と社員を対象に「予め定められた価格」で自社株を購入することが可能
- 株を購入する権利であり、株が付与される制度ではない
- 買い付けできる株数には上限数が存在(無制限に買うことはできない)
当然、無制限に買付ができたら、資金があればあるほど資産が増えていくことになりますので、必ず上限の「株数」が設定をされます。
その上限の中で、買い付けることができるようになり、その制度を付与されるのは、会社に属する取締役や社員を対象に行うことが多いです。
貢献度に応じて付与される株は異なるのが一般的
- 役職に応じて「購入可能数」が定められる事が多い
- 行使金額は会社によって様々
- ストックオプションは社員全員に付与されるわけではない(もらえない人も存在)
最近では貢献度に応じて付与をする例が多く、前者の役職などに応じて定めをしていく企業が多いようです。
また、現在、本制度を導入する企業は増加傾向です。
ただ、間違って認識をしてはいけないのが、付与されただけではあなたの手元に金額が舞い込んでくるわけではありません。
あくまでその会社が上場をしなければ、ストックオプション制度の役割を果たせません。
役職に関係することとして、勤続年数がありますが「勤続年数の平均値は何年?参考にすべきなのか?【数値の意味を解説】」にてまとめています。
リクナビ2022の新卒サイトの調査によると、求人票にストックオプションの制度が記載をされている企業数は2021年8月時点で【2477社】に及ぶことが分かります。
ただ、データからも分かるように、上場を迎えられる企業は一部で年間を通じて、約80〜90社程しかありません。
つまりストックオプションを付与する企業の中で3〜4%程度しか恩恵を得ることができません。
下記の記事はストックオプションが付与される企業の特徴を解説しています!
なぜ企業はストックオプション制度を設けるのか?
企業がストックオプションを付与する理由のまとめ
- 優秀な人材を会社に定着させることができる
- 優秀な人材を外部から獲得をすることができる
- 社員のモチベーションを高めて業績牽引につなげる事ができる
本来上場をすれば、一般取引の中で多額な金額で流通をさせることができていた株を、なぜ安値であなたに譲ってくれるのでしょうか。
そこには適切な目的があり、本制度は会社にとっても、あなたにとってもWin-Winとなれるような制度なのです。
その理由について3点解説をしますね。
優秀な人材の確保ができるようになる
ストックオプションは多額の金額を手にすることができます。
当然、それを目的に転職をしたいという希望者は増えます。
そのため、短期的に見たら基本給与は高くないが、ストックオプションを手にすることができれば、多額の資金を手にしますよね。
今は、多少の安い賃金でも将来的に制度を活用すれば大きなメリットであると感じている方が一定生まれます。
そうなると、企業は高い給与を支払わなくても優秀な人材を獲得できる可能性が広がります。
ストックオプション制度や報酬額の実態を知りたい場合には「【転職クチコミサイト徹底解説】自身に合うクチコミサイトの活用方法」で解説をしていますのでご覧くださいませ。
離職リスクを減らす
ストックオプションを行使するためには上場後一定の期間が必要になります。
ストックオプション制度は在籍をしている事を条件に付与されます。
仮に退職をしてしまっては制度自体を活用することができなくなり、当然ながら定めた額面で購入をする権利を失います。
つまり、ストックオプションを行使するまでは在籍をしなくてはならず、優秀な方の離職を一定防ぐ効果を発揮します。
つまり、会社は優秀な方を引き留め、業績貢献をしてくれることで、より売り上げを輩出し株価を向上させていくというメリットを享受することができます。
あなたにとっても、適切な期間を経ることができれば、ストックオプションを行使して、多額の金額を手にすることができます。
結果的に、退職を考えている場合には、よほどの事情がない限り待った方が得策です。
他社からの引き抜きということも最近では一般的になってきています。
「引き抜き転職って他人事?【いえいえ、身近ことで誰もが可能性あり】」も併せてご覧ください。
会社の成長を伸ばす事につながる
ストックオプションで行使するタイミングによって得られる金額は異なります。
そのため、少しでも株価を向上させ、自分が得られる上場益を高めていきたいと思う方は多いのではないでしょうか。
そのため業績貢献をし、会社の売り上げが伸びれば、株主からも一定の評価をいただくことになり、株価は上がります。
このように、自身の努力によって株価を上げることも可能ですよね。
その結果、社員のモチベーションにつながりやすく、ストックオプションは社員にも会社にもメリットをもたらす効果があります。
ただ一点注意をしておきたいのは株価は下がることもあります。
実際に上場をした後に、事件を起こしてしまって株価が急落をしたために行使金額が減ったという事例も起きています。
くれぐれも、そのようなことがないよう、上場企業であることの自覚を持ち、規範を守ることは徹底する必要があります。
ストックオプション制度を付与している企業に直接応募をしたい場合にはポイントを押さえれば可能です。「中途の直接応募は失礼なのか?【企業HP経由の応募時の心得を解説】」をご覧ください。
ストックオプションを得るために入社後にすること
ひとことで言うと下記理由により会社は付与する
- 創業時に在籍をしていたメンバーへの感謝の気持ちとして還元する
- 退職をしてほしくない社員への引き止めを狙った付与
理由について詳細説明をしますね!
とにかく仕事の成果をとことん出す
ひとつめが創業時にがむしゃらにやっていただいた社員への報いという形で付与されます。
当然創業時には多くの給与を支払うこともできません。また様々な制約の中で仕事をする必要があり、困難を極めます。
当然ベンチャーはこのような風土を楽しみながらしていくものですが、実際にやってみるとかなりキツイです。
そのため、上場をした時に、その時のお礼の意味合いで付与します。
もう一つが、退職をして欲しくない社員への引き留めを狙った付与となります。
これはある程度大きくなってから入社をしたメンバーにもチャンスはあります。
著しい仕事の成果を輩出している方に対して会社はずっと勤務をしてもらいたいと思い好条件を提示します。
そのひとつとして本制度が挙げられます。
上場後数年間は売却ができないために、その間の引き留めとして一定の効果を発揮します。
そのため、活躍をすることで、自らが会社にとって大事な存在であることを証明する必要があります。
そのため仕事の成果はとことん追求をして、会社に対しての功績をひとつでも多く残しておくことが必要です。
早期にポジションを得るようにする
総じて活躍をした方に関しては新たなポジションも用意をされたりします。
株を付与される際に、役職に応じて付与総数を変えるということが一般的です。
つまり上位役職者になればなるほど付与通数は多く、見返りが期待できるわけです。
つまり、仕事の成果を着実に積み、会社から求められる人材になることは重要ですが、早期でポジションを得て、多くの付与を受け取れる実績作りをしておくことがより重要です。
なお、ストックオプションを付与している企業を狙って転職を行いたい場合には、会社の内情を知るエージェントの活用が必須です。「転職エージェントのオススメは?【人材業界17年のノウハウを凝縮】」を参考ください。
Aさんのストックオプションを手にし、行使をした体験談
大手企業への転職をする場合にはストックオプションはありません。
大手→ベンチャーへの転職の際に得られるものゆえ「大手からベンチャー転職は、一生に一度は必ず行うべき「5個」の理由」も参考にしてください。
制度を受け取るに至った背景はなにか
実際にあった事例に出てくる「Aさん」はこんな人
- 2015年に35歳で転職(後にストックオプションが付与される企業)
- 前職は600万円の年収
- 会社の将来性や事業の特異性に引かれて転職を決意
- 2020年に現職は新規上場を果たす
もともと、同社ではストックオプションの制度はなく、一介のベンチャー企業でしかありませんでした。
そのため、社内の制度も整っておらず、会社の運営基盤もお世辞でも整っているとは言えず、いわゆる普通のベンチャー企業でした。
ただ事業の特異性もあり、徐々に世間に認知をされるようになってきました。
そのため、売り上げについては年々増加をするようになり、事業は拡大をしていきました。
Aさんの多大な貢献もあり、会社の業績が安定をしてきている状態を迎えたために、2018年にAさんは営業部長として選出されました。
その際にストックオプションを付与される事を経営者から告げられ、1000株の付与を受けたとのことです。
その後、Aさんは手腕を発揮をして会社を成長させていったことで、めでたく2020年には新規で上場を迎えました。
上場を迎える前に、証券取引所からの通達により、上場をする際に株式分割をするよう命じられたとのことで、同社は1株を100株にする株式分割を行いました。
そうしたことで、Aさんの株価は10万株となりました。
結果、上場をしたことで1株あたり4000円の値がついたことで、総額として、4億円相当の株になりました。
もともと同社では株の行使金額を1000円として定めていたため、単純に差し引き3億円が売却した時のAさんの利益となりました。
その会社では、誰に制度が付与されたのか?
結論、株の総数は異なりますが、役職に応じて株の付与はされました。
取締役、事業部長、部長、課長などのレイヤーにおいて適切な配分がなされ、課長職においては2000株程度の付与がされていました。
このように取締役などの重役にならなくても、一定の年数、勤務をして活躍が認められている方に関しては付与の対象となることが多いです。
転職をする際にはこのように成長性をのある会社で、将来上場をしていく可能性が高い会社を選択するメリットがあることがわかります。
Aさんが掲げられた禁止事項
前項でも記載をしていた通り、決して口外をしないこと、会社のIPOに関わる一切の情報は控えることを約束されました。
当然ですが、このストックオプションは社員全員に付与することは珍しく、ある限定的な社員に対して付与をする事が多いものです。
そのため、この制度をいただいたからといって安易に口外をしてしまうと、ムダなやっかみを引き起こします。
その結果、無益な評判を立てられたりする場合も多く、自身を守るためにも口外はしないと説明を受けたようです。
また、IPOはとてもセンシティブです。
株価に影響をすることや、上場タイミングなどを口外してしまう
そのため、一切の情報を口外しないという事を約束されるようです。
過去に、ゲーム開発企業の「gumi」が上場直前に取り消しになる事態も起きています。
上場をする可能性が固い状況となっていても不測の辞退が起きる可能性もあるため、一切の口外をしないことが大事です。
行使をする期間はどのように定められているのか?
最初にお断りをしておきますが、上場直後ではストックオプションの権利行使ができません。
これは、法律により定められていますが「当該新株予約権の行使は、当該新株予約権に係る付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと。」と義務付けられています。
つまり、上場をしてから2年間は誰もが株を行使することができません。
例えば、2021年1月に上場をした場合には、2023年1月から行使をすることができません。
行使はどのようにするのか?
会社によって異なりますが、上記のように上場をしてからストックオプションが行使できる期間が定められています。
まとめて一括で行使ができるのではなく、段階を応じて行使できる株数が定められている場合があります。
例えば、上記の表だと2021年は1000株中の200株だけで、2022年には200株など、5年間に渡って行使ができるといった定めとなります。
基本的には、2021年の200株をその年の内に行使しなければならないということでもありません。
行使の期間はご覧の通り長期で定められており、仮に2021年に行使をしなかった株を翌年分も含めて400株で行使をすることは可能なのです。
これは前述した通り、段階的に行使をする株数を分けていることにより長期での雇用流出をしないような対策を会社が講じているためとなります。
どのように行使をするのか?
ストックオプションは主幹事証券を通じて売買されます。
野村證券やみずほ証券など、その企業が選定をした証券会社、これを主幹事証券と呼びますが、その会社を通じて売却等々が行えます。
つまりこの制度を設けている会社が、上場をした場合には、証券会社の管理システムがその方に対して付与をされます。
株価のチェック、売買についての決済行使ができるようになり、そのシステムを通じてタイミングになったら売却をしていきます。
また、大量に売却をするには当然ながら株価に大きく影響を及ぼす原因となるためストックオプションを行使する場合には会社の承認を得てから行うと定められているケースが一般的です。
1円たりとも損をしない行使のタイミングとは?
前項でもありましたが、行使ができるタイミングになったら、売り買いできる株の枠数が割り当てられます。
ただ、このタイミングを見定めるのは極めて重要です。その理由について解説をします。
企業がストックオプションの上手な行使方法まとめ
- 行使するには2年程度の期間があるため、最も株価が上昇するタイミングで売却をする
- 行使をするには会社承認を得る必要があるため、多少のバッファは見ておく必要がある
- ストックオプションはインサイダー取引の対象外
株価が上昇をすると推察している方
当然会社の株価は日々動いています。
業績好調のトレンドであれば、売り上げの上昇に応じて市場の期待感が高まることで株価は上昇していきます。
そのため、上昇トレンドだと予測する方は一定売却を温存して、上がり切ったタイミングで売却をしていくことで、売却益を多く得ようと試みる方がいらっしゃいます。
この方法は非常に賢明です。かなり家計が切迫をしている状況でなければ、すぐに行使をせず、待ちがよいです。
ここで察しの良い方は気付くかもしれませんが、会社の業績を社員の立場である程度予測ができるような状態であれば、インサイダー取引の対象となってしまうと考える方がいらっしゃいます。
インサイダー取引とは、会社の内部情報に接する立場にある役職員等が、その立場を利用して会社の重要な内部情報(重要事実)を知り、情報が公表される前にこの会社の特定有価証券等(株式、新株予約権証券、社債券、投資証券、他社株転換社債等)を売買することを言います。(マネックス証券インサイダー取引とはなんですか?(抜粋)
上記のように行使をするタイミングを社内情報などを知り得る従業員が行ってしまうと規制の対象と思われがちです。
ただ、このストックオプション行使はインサイダー取引の対象外です。
4 適用除外(法166条6項)
会社関係者等のインサイダー取引規制には一定の適用除外が定められており,証券市場の公正性・健全性に対する投資者の信頼確保の観点から類型的に規制対象とする必要がないと考えられる取引については,適用除外とされています(法166条6項)
適用除外としては,既に有する権利を行使する場合(ストックオプションの行使等),法令に基づく場合(反対株主の株式買取請求等),重要事実を知る前に決定された売買等の計画の実行としての売買等(従業員持株会が株券の買付けを行う場合,株式累積投資制度(るいとう)による買付け等),組織再編がなされるにあたって売買等がされる場合,などが挙げられます。
なお,適用除外に関しては,自社株売買に対する過度な制約を解除するため,近時,「知る前契約」「知る前計画」に係るインサイダー取引規制の適用除外に関して「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」が一部改正され,平成27年9月16日から施行されております(「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」及び「金融商品取引法等に関する留意事項について」(「金融商品取引法等ガイドライン)の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果並びにインサイダー取引規制に関するQ&Aの追加等について」
http://www.fsa.go.jp/news/27/syouken/20150902-1.html#bessi4)
つまり、ストックオプションを行使するタイミングは会社の業績が市場に好感触として受け入れられ、高値で取引をされるタイミングにおいて行使をすることが得策なのです。
※暴落の可能性もあるため、一定の見切りは必要
ストックオプションを捨て、転職をすべきなのか?
基本転職はせずに、行使しきるまでは今の会社に留まるべきです。
お金のために残るというのは不本意ですが、仮に5000円想定の2000株程度を保有をしていたら1000万円です。
5年程度で償却していくことを考えたときでも年間200万円の給与UPを見込める会社はまず存在しないと思います。
ただ、転職をした方が良い場合については下記理由に該当をする時となります。
転職をしたほうが良い場合もある
多額の金額が得られるチャンスとなるストックオプションですが、権利行使をする前に辞めるのはとても勿体ないことであるとされています。
場合によっては転職をしたほうが良いものもあり、その点についての観点を解説します。
転職すれば高い給与が得られる場合
仮に権利行使価額が500円として、上場をした際の株価が3,000円であり、100株を行使上限となっていた場合においては利益が差し引き2500円となり、100株の総額が250,000円となります。
ここから20%程度の利益による税金がかかり、手元には概ね200,000円程度の金額が得られます。
そうなった場合、数年間転職を待つ必要があるでしょうか。
給与が上がる転職の場合においては早く転職をしてしまった方が得という事も考えられます。
「将来得られる事が確定をしている金額>ストックオプション価額」の場合には留まる事が逆にデメリットなってしまいます。
権利行使期間まで続けられる可能性が乏しい場合
仮にストックオプションが「将来得られる事が確定をしている金額<ストックオプション価額」だったとしても会社にいるのが余りにも無意味であなたの人生において何らプラスにならない場合にはどうしたら良いでしょうか。
時間的なロスが大きいと考え転職をしたほうがよい場合もあります。
お金だけのために職場に留まるのは自分の可能性を狭め、良いことではありません。
そのため転職をして自身の可能性を広げられるチャンスがある場合には必ずしも定着をしていく事が得策ではありません。
優秀な方がストックオプションを持っていても退職をするケースがあります。
そのまとめとして「なぜ、優秀な人ほど突然辞めるのか?【退職理由と対策案を徹底解説】」で解説をしていますのでご覧ください。
ストックオプションは労働者にも会社にもメリットが多大にある制度となります。
しかしこの制度があるから会社に残るというのは勿体なく、お金には換算しにくい事も考慮の上、自身の判断をしていくのが重要です。
コメント内容は、丁寧に拝見させていただきます!